多くの中小企業経営者が「財務諸表は税理士任せ」にしていますが、財務諸表の読み方を習得することで経営の意思決定の質が格段に向上します。BS・PLの基本を解説します。
目次
貸借対照表(BS)の構造と読み方
| 左側(資産) | 右側(負債・純資産) |
|---|---|
| 流動資産(1年以内に現金化) | 流動負債(1年以内に返済) |
| 固定資産(長期保有の資産) | 固定負債(1年超の借入) |
| 繰延資産 | 純資産(自己資本) |
BSで確認すべき3つの重要指標
- 流動比率:流動資産÷流動負債×100。120%以上が目安。短期の支払い能力を示す
- 自己資本比率:純資産÷総資産×100。30%以上が安定の目安。財務の健全性を示す
- 有利子負債比率:有利子負債÷自己資本。1.0倍以下が望ましい。借入依存度を示す
損益計算書(PL)の5段階の利益構造
- 売上総利益(粗利)=売上高-売上原価。業種平均と比較して収益性を判断
- 営業利益=粗利-販管費。本業の稼ぎ力を示す最重要指標
- 経常利益=営業利益±営業外損益。金融費用を加味した経営の実力値
- 税引前当期純利益=経常利益±特別損益。一時的な要因を含む
- 当期純利益=税引前利益-法人税等。最終的な稼ぎ
財務分析の主要指標と業界標準
収益性の指標
- 売上高営業利益率:営業利益÷売上高×100。製造業5%、小売業2%、サービス業10%以上が優良目安
- ROE(自己資本利益率):当期純利益÷自己資本×100。10%以上が優秀とされる
- ROA(総資産利益率):当期純利益÷総資産×100。5%以上が目安
安全性の指標
- 当座比率:(現金+売掛金)÷流動負債×100。100%以上が安心
- 固定比率:固定資産÷自己資本×100。100%以下が理想
- インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業利益÷支払利息。1.5倍以上が目安
成長性の指標
- 売上高成長率:(当期売上-前期売上)÷前期売上×100
- 利益成長率:同様に利益ベースで計算。売上と利益の乖離に注目
よくある質問
Q. 月次試算表と年次決算書の違いは何ですか?
A. 月次試算表は速報値で税務調整前の数字ですが、経営判断には最も重要なリアルタイムデータです。年次決算書は税務申告用の確定数字で、減価償却や引当金の計上が含まれます。経営者は月次試算表を毎月確認する習慣をつけることが重要です。
Q. 黒字でも銀行が融資を断ることはありますか?
A. はい、あります。BSの自己資本比率が低い・有利子負債が多い・過去の赤字で繰越損失が残っているなど、財務健全性に問題があれば損益が黒字でも融資審査に通らないケースがあります。PLだけでなくBSの改善も経営課題として取り組む必要があります。
まとめ
財務諸表の読み方をマスターすれば、月次の経営状況を数字で掌握し、銀行との対話力も高まります。BS・PLの基本指標を定期的にモニタリングすることが、健全な経営を継続するための第一歩です。