企業の経営状態を数字で把握する財務分析は、経営者・投資家・銀行など多くの関係者にとって不可欠なスキルです。財務三表(BS・PL・CF)の読み方と主要な財務指標を解説します。
目次
財務三表の概要と役割
| 財務諸表 | 正式名称 | わかること | 時間軸 |
|---|---|---|---|
| BS | 貸借対照表 | 財産と負債のバランス(財務の健全性) | 特定日時点のストック |
| PL | 損益計算書 | 売上・費用・利益の状況(収益性) | 期間のフロー |
| CF | キャッシュフロー計算書 | 現金の増減(資金繰りの状況) | 期間のフロー |
貸借対照表(BS)の読み方
BSの基本構造
- 左側(資産):現金・売掛金・在庫・固定資産など会社が持つ財産
- 右側上(負債):借入金・買掛金など返済義務のある資金調達
- 右側下(純資産):自己資本(株主が出資した資金+累積利益)
- 左右は必ず一致(資産 = 負債 + 純資産)
BSで確認する主要指標
- 自己資本比率 = 純資産 ÷ 総資産 × 100(目安:40%以上が安全)
- 流動比率 = 流動資産 ÷ 流動負債 × 100(目安:120〜150%以上が望ましい)
- 当座比率 = (現金+売掛金) ÷ 流動負債 × 100(目安:100%以上)
損益計算書(PL)の読み方
PLの利益の段階
- 売上高 − 売上原価 = 売上総利益(粗利)
- 売上総利益 − 販売費及び一般管理費(販管費) = 営業利益(本業の儲け)
- 営業利益 + 営業外収益 − 営業外費用 = 経常利益(通常の事業全体)
- 経常利益 + 特別利益 − 特別損失 = 税引前当期純利益
- 税引前当期純利益 − 法人税等 = 当期純利益(最終的な利益)
PLで確認する主要指標
- 売上総利益率(粗利率)= 売上総利益 ÷ 売上高 × 100(業種によって大きく異なる)
- 営業利益率 = 営業利益 ÷ 売上高 × 100(目安:5〜10%以上)
- ROE(自己資本利益率)= 当期純利益 ÷ 純資産 × 100(目安:10%以上)
キャッシュフロー計算書(CF)の読み方
CFの3区分
- 営業CF:本業の活動で現金がいくら入ったか(黒字が基本、PLと乖離がないか確認)
- 投資CF:設備投資や有価証券の売買(成長投資は通常マイナス)
- 財務CF:借入・返済・増資の状況(借入増加でプラス、返済でマイナス)
理想的なCF構造
- 優良企業:営業CF+、投資CF−、財務CF−(稼いで投資し、借金を返している)
- 成長企業:営業CF+、投資CF−、財務CF+(投資を借入で賄っている)
- 要注意:営業CFがマイナスは事業の稼ぐ力が弱い可能性
銀行が重視する財務指標
融資審査でよく確認される指標
- 債務償還年数 = 有利子負債 ÷ (営業利益+減価償却費)(目安:10年以内)
- インタレスト・カバレッジ・レシオ = 営業利益 ÷ 支払利息(目安:3倍以上)
- EBITDA = 営業利益+減価償却費(国際的な収益力の比較指標)
よくある質問
Q. 財務分析は中小企業の経営者にも必要ですか?
A. 必要です。財務諸表を読める経営者とそうでない経営者では、経営判断の質が大きく異なります。特に銀行融資・補助金申請・M&Aなどの場面で財務数値の理解が必須です。難しく感じる場合は、まず「粗利率・営業利益率・自己資本比率・営業CF」の4指標から読み慣れることをお勧めします。
Q. PLが黒字なのに資金繰りが苦しいのはなぜですか?
A. PLは売上計上のタイミングと実際の入金が異なるため、「売上は立っているが現金がまだ来ていない」状況が生じます(黒字倒産のリスク)。CFを見ることで実際の資金の流れが把握でき、資金繰り管理に活用できます。
まとめ
財務分析はBS(健全性)・PL(収益性)・CF(資金繰り)の三表を組み合わせて会社の実態を把握することが重要です。主要指標を定期的にモニタリングし、会計士・税理士と連携して経営改善に活かしましょう。